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4000年の歴史を有する伝統的な中国書法を
基礎から始めて各書体、特に隷書や章草まで
しっかりと学びます。
    「章草」「蘧草」とは?
   
    王蘧常                     王蘧常と郭同慶(1987年上海にて)

王蘧常作品
①十八帖 ②足下帖 ③急就章(一部) ④千字文跋文(一部)
隔海述書七言章草対聯 釈文 隔海聯姻如合璧 述書有賦得傳人



 前漢に登場したが、短期間に衰退

 篆書、隷書、行草書、楷書は知っていても、章草(しょうそう)という書体名は初めて聞く、という方が多いのではないでしょうか。日本ではほとんど知る方がいないのですが、中国では最近、かつての章草が復活したと話題になっており、静かなブームすら引き起こしているのです。では、章草についてお話ししましょう。

 漢字の書体は、「篆書」が始まりであります。約4000年前の上古時代(夏以前)の卜辞(甲骨文の記録文字)にまで遡ることが出来ます。篆書はその後、青銅器に刻んだ金文や石鼓文、木簡・竹簡として発展していきますが、ともかく画数が多くて、字形も入り組んでいて、簡単には書けません。

 このため、戦国時代頃から、もう少し簡単に書ける書体はないものかと、模索が始まります。そして秦代になると、程邈(ていばく)という書道家が、流行していた篆書を簡素化した方法を最初に秦王に献上し、これを「隷書」と名付けたと伝えられています。隷書の登場です。

 ところが隷書も、篆書よりは簡略化していますが、まだ書くのに時間がかかります。さらなる書体の簡略化を求める動きの中で、新たに生まれてきたのが「章草」です。前漢後期の史游が《急就章(きゅうしゅうしょう)》(下図参照)を作り、章草の範本となりましたが、現在はその墨跡や石碑は残っておらず、三国時代の皇象(こうしょう)(生没不明)の写しも欠字が目立ちます。西晋の索靖(さくせい)(239~303)及び陸機(りくき)(261~303)といった章草を得意とする書家が残した作品も数点しかありません。

 やや遅れて登場した王羲之(303~361)らが、「今草」を作り出し、その後の1700年余りの書道史は王義之一辺倒となっていきます。こうした中で章草の書家は極めて希少でした。元の趙孟頫(ちょうもうふ)(1254~1322)、明の宋克(そうこく)(1327~1387)、同じく明の祝允明(しゅくいんめい)(1461~1527)など数えるほどしかおりません。

 清朝では引き続き王羲之書風が流行する一方で、青銅器や甲骨の発掘により、古文字の研究が盛んとなり、篆書や隷書のブームが到来します。しかし章草は見向きもされませんでした。近現代になると、王世鏜(おうせとう)(1868~1933)や高二適(こうにてき)(1903~1977)が出てきますが、これも大きなブームにはなりませんでした。

王蘧常が見事に復活させ、郭同慶がさらなる発展を目指す

 それを再興させたのが、清朝末期に生まれた王蘧常(1900〜1989年)です。王蘧常は師匠の沈曾植(ちんそしょく)(1850~1922)翁に導かれ、王羲之より前の時代の篆書、隷書、章草を徹底的に研究し、特に章草に傾倒しました。王蘧常は、字数の少なかった章草に木簡竹簡から字形の魅力のあるものを抜粋して加えました。そして生涯かけて章草に打ち込んだ結果、新鮮で力強い章草を作りあげました。

 没後の翌年に上海で遺墨展が開かれました。謝稚柳(しゃちりゅう)(国務院文化財鑑定権威5人組組長)氏は、これはもはや「章草」ではなく、「蘧草」と言うべし、千年に只一人であると絶賛しました。王蘧常は章草の独特な境地を切り開いた功績を内外から高く評価され、「昔は王羲之あり、今は王蘧常あり」と時の書壇でもてはやされました。


 「翰墨書道会(王蘧常先生顕彰会)」の郭同慶会長は、上海時代に王蘧常に師事し、恩師より「述書有賦得傳人」(書を述べる賦が有り傳人を得る)の句を戴きました。章草を継承し発展させる「傳人」としての使命を有していると言えます。日本でこの書体を学べるところは、皆無と言っても過言ではありませんので、ぜひ皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

                
         《急就章》原文・史遊、書写者・索靖      
          上海書画出版社2001年版《急就章》より

    
         《急就章》書写者・郭同慶

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